現在、日本の試される大地にて、絶賛試され中だ。
原生林ともいえる森の中を彷徨っている。
何を言っているのか分からないだろうから最初から説明しよう、
俺が家族と海沿いの公園に遊びに来ていた時のことだ。
ふと視線を感じ、首筋に悪寒が走った。
俺はとっさに身を翻す。
「ピュン」
俺が今いた位置を、空気を切り裂く音と共に超高速で何かが通り過ぎていく。
視線を感じた方向には、一台の車が停まっており、その助手席にキラリと光るものが見えた。再び身を翻すっ。
危ない、今度は脇をかすめた。胴を狙い、しかもサイレンサー付きか・・・。
俺でなければ避けられなかった。完全にプロの犯行だ。
しかし相手を補足したからには、同時に反撃を行う。
地面に落ちていた石を指で弾く。咄嗟だったのでスピードは200㎞/hほどしか
出ていなかったが、助手席に座っていた黒ずくめの男の手に当てることには成功し、次弾を阻止する。
体勢を建て直し、次は本気の350km/hで指弾を打ち出そうとした。
「コラッ、何してるんだ」と、父に手を掴まれる。
親には子供の悪戯に見えたのだろう。申し開きしても信じてもらえないし、
皆が無事であったのだから、お小言など些細なことだ。
車と黒ずくめの男たちは、反撃しようとした次の瞬間には走り去り、
既に追いかけることは不可能だった。
注意しながら遊びに興じていたが、結局その後は何もなく帰宅することになった。
車に乗り、自宅に向かっているときだった。再びあの車が現れたのだ。
黒ずくめの男が乗った車が後ろから現れた。
俺は、大声でスピードを出すよう指示をするが、騒ぐなと怒られてしまう。
一度は黙ったものの、よく見ると車は2台だ。
1台が追い抜きゆっくりとスピードを落とされると、前後を挟まれ強制停車されてしまう。
再び、大声でスピードを出すように言うが、相手にしてはもらえない。
どうすればいい・・・俺が思案していた次の瞬間、
最悪なことに車が林道のほうに曲がったのだ。
まずい・・・人の目のつかないところでは危険度が増す。
焦って後ろを振り向くと、怪しい車はついてこなかった。
林道で下車し、小言を言われていた時、遠くに車の音が聞こえた。
距離は1㎞、一般人では聞こえないだろうが、俺はさっきの車のエンジン音だと認識できた。アクセルの踏み方に癖がある、エンジンの回転数からもさっきの奴で間違いない。
いや、おかしい。1台だけだ。
その時俺は悟った。1台が回り込み、林道の反対側から来たのだ。
そして、もう1台は俺たちが入った側で待ち構えているのだろう。
完全に仕留める気だ。
俺は親が離れた隙に、森に身を隠した。
狙いは俺だ。俺は思い出した、
今年の初めにとある事務所が襲撃された。その時俺は、その場にいたのだ。
何かしていたわけではない、買い物の帰りに通っただけだ。
だが、あの事務所の前、道路を隔てた反対側に車が停まっていた。
そこに乗っていたのは、この街の議員だ。ポスターで見たことがある。
顔を見られたことでの口封じか。
樹々に隠れ、指弾を用意する。
どちらにしろ逃げられないのだ、まずは狙いの俺が隠れ注意を逸らし、
家族に危害が及ぶようならば反撃をする。
追ってきた車は、家族の乗る車のゆっくりと通り過ぎた。
どうやら俺がいないことが分かったようだ。
家族からは見えない位置で停車し、男が3人下りた。
怪しい車は去って行った。狙いは完全に俺一人か。
俺は、森に姿をくらませた。
手に持っているのは、今日の軽食の残り、メンチカツパンだけ。
子供の背格好で、咄嗟に持ち出せたのは1つだけだった。
コロッケパンとメンチカツパンがあったが、当然メンチカツだ。
100キロカロリーも違う。サバイバルではその差が命取りになるからだ。
つづく
情報元:CloseSS 転載許可済
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